理事長挨拶
Chairman Message
理事長挨拶
日本の精神医療は長期にわたって統合失調症と躁うつ病圏の治療を中心に展開されてきました。しかし急速に高齢化が進み、認知症者が増加の一途をたどる社会状況の中、認知症治療は喫緊の課題となっています。認知症の中核症状は「もの忘れ」ですが、徘徊、夜間の不眠や興奮、暴言、暴力等の周辺症状は、家族や老人施設、一般病院にとって重い負担となり、日々の対応に困惑、疲弊しています。
当院ではこのような社会的ニーズに応えるべく、認知症を積極的に受け入れていますが、高齢であるが故に身体合併症も多いため、内科常勤医、皮膚科、整形外科の非常勤、歯科訪問診療、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、栄養士等がチームを組み、精神症状のケアのみならず、身体症状の治療からリハビリまで総合的な医療を提供できるよう体制を整えています。
外来部門では、訪問診療、訪問看護体制を充実させ、患者の皆さまが社会の中で通常の生活を営めるよう援助しています。コロナ対策として休止中ではありますが、デイケアの活動も今後復活させる予定です。主治医が必要と認めたケースや、本人からの申し出があった場合、認定心理士による心理カウンセリングを実施できるのも当院の特色であります。
また当院では、医療活動を支える職員一人一人が健康で働き甲斐を感じられることも重視し、環境を整備しています。具体的には、残業を減らす業務改善、有休を取りやすい体制整備、男性職員の育休取得保証、学会、研修会参加や資格取得への援助、各種ハラスメント対策として相談窓口を外部第三者に委託、等の対策をとっています。全部署の代表者による運営会議を月1回開催し、経営状態や活動内容を全職員が共有することでチームワークを高める取り組みも行なっております。
当院が掲げる「地域のニーズに応える総合的医療」という目標を達成するには、まだまだ課題が山積しています。皆様がこの道をご一緒に歩んで下さることを、そして働く喜びを実感していただけることを心から念願しております。
小石澤 学